武蔵野大学のAI副専攻コース科目として、約3年間にわたりサービスデザインの授業を実施してきました。2年生前期に基盤科目としてデザインシンキングの基礎的な概念やフレームワークを学び、後期に専修科目として、プロトタイピングと評価のフィードバックサイクルをラピッドに回して、ユーザ体験のデザインを具現化していく方法を実践的に学習します。この3年間の授業実践を通じて、サービスデザインを大学という限られた場と時間の中で学ぶ際のいくつかの課題が浮き彫りとなってきました。
また、サービスデザインを取り巻く環境変化として、生成AIの浸透により、企業の中ではすでに積極的に生成AIを活用する動きが出てきています。社会へ繋がる教育を目指しているAI副専攻コースの科目として、サービスデザイン教育の中に生成AI活用を盛り込んでいくことは不可欠と言える状況となりつつあります。
一方で、生成AIを活用したサービスデザインプロセスの在り方という観点とは別に、仕事の場での生成AI活用と教育の場での生成AI活用では、その目的や位置づけはおのずと異なります。仕事と同じ概念で教育に生成AIを取り込むことはリスクを伴うでしょう。
このような背景を受け2025年度の授業より、3年間の授業実践で得られた課題に対して、生成AIを活用することでその解消を試みようとしています。この新たに準備している教育プログラムを紹介するとともに、サービスデザインにおける生成AI活用、特に教育分野での活用に関して、参加者の皆さんと議論したいと考えています。