2024年は生成AIの進化が目覚ましい年でした。リモートワーク研究所(リモ研)の池田朋弘氏が注目した生成AIに関するトピックを、10のキーワードでご紹介します。
1. AIの知能がIQ130を超える:O1モデルの登場
OpenAIの新モデル「O1」のリリースは、生成AIの進化を象徴する大きな出来事となりました。従来のGPTシリーズが持つ“文章生成”の枠を超え、人間のように段階的・論理的に考えたうえで回答を導き出す「思考型AI」へと進化。難易度の高い数式や論理問題も解けるようになり、汎用的かつ高度な知能を持つAIが現実味を帯びています。
2. コストがGPT-4の1/100に
大規模言語モデルのコスト削減も大きなトピックでした。クラウドインフラの進化や分散処理技術の発達により、学習・推論コストが急激に低下。GPT-4時代に比べると1/100ほどまで引き下げられたという報告もあり、AIの利用ハードルが大幅に下がったことで、導入事例が一気に増えた年でもありました。
3. マルチモーダル化の加速
テキストのみならず、画像・音声・動画といった複数のモーダルを統合的に扱うマルチモーダルAIが各社から続々登場。たとえば画像を理解し、文章化するだけでなく、そこから推論を進めたり、動画解析による物体検出や音声認識の精度向上など、AIが扱う情報の幅が拡大しています。
4. AIエージェントの進化
一度指示を出すだけで、数時間や数日単位にわたるタスクを自動的に進行してくれる「AIエージェント」も進化。タスクの細分化や優先順位の設定、進捗管理など、人の手をほとんど介さずに自律的に動く事例が増えています。時間のかかる調査や分析業務をAIが肩代わりするため、生産性の大幅な向上が期待されています。
5. 「考えるAI」へのパラダイムシフト
これまでの生成AIは、学習したデータから「それっぽい文章を作る」印象が強かった一方、2024年の進化は「考えるプロセスを可視化しながら回答を出す」方向へ向かいました。AIが条件を洗い出し、論理を組み立て、最終的な結論に至るまでの過程が明確になることで、信頼性や説明責任がさらに高まっています。
6. 業務・ビジネスでの本格導入
コールセンターやカスタマーサポート、社内問合せ対応など、AIがビジネス業務に本格的に導入される事例が急増。簡易的な質問応対にとどまらず、発注・在庫管理や資料作成補助など、多岐にわたる業務を支援しています。大企業だけでなく中小企業でも導入が進み、導入しない企業との差が広がりつつあります。
7. プロンプトエンジニアリングの高度化
「AIにどう質問・依頼すればより正確に回答してくれるのか」というノウハウが急速に溜まり、プロンプトエンジニアリングが大きな注目を集めました。条件設定やゴール設定を明確にする方法、段階的に情報を与えるテクニックなど、ビジネスシーンや個人の研究に役立つテンプレートが多数シェアされています。
8. ツールやプラグインエコシステムの拡充
ChatGPTプラグインをはじめとした各種LLM向けプラグインが活発に開発され、エコシステムが広がったのも特徴的でした。文章校正、コーディング、分析ツールなど、目的に応じたプラグインを使うことで、AIの能力を柔軟に拡張できるようになっています。
9. セキュリティ・倫理・ガバナンスの議論
AIの利活用が増える一方で、データ漏洩のリスクやプライバシーの問題、著作権への配慮など、セキュリティや倫理面での課題も顕在化しました。各国での法整備や企業によるガイドラインの策定が進められる中、AIを正しく活用するためのガバナンスが大きなテーマとなっています。
10. 2025年以降に向けた展望
2024年に顕在化した様々なイノベーションが、2025年以降さらに拡大・深化していくことが予想されます。今後は、より高度な思考機能を備えたAIの登場や、先進的な業務自動化に加え、教育や医療分野など幅広い領域へも活用が広がっていくでしょう。
教育現場においても、これらの技術を適切に活用することで、生徒一人ひとりに合った学びの提供が可能になります!
生成AIは、もはや未来の技術ではなく、今日の教育に欠かせないツールとなりつつあります。
ぜひこの記事を参考に、2025年の教育現場での生成AI活用を検討してみてください!
参考: