学校統廃合の荒波に備える!塾経営者が取り組む対策とは

15年後の2038年、新潟県内の公立高校の募集学級数が2学級以下になる可能性が浮上しています。少子化の波が県内の教育現場に厳しい影響を及ぼすことが危惧されています。しかし一方で、この環境の変化は塾経営者の新しいチャンスでもあります。公教育が縮小を余儀なくされる中で、民間教育ビジネスが果たすべき役割は大きくなるはずです。今こそ塾経営者は、社会の変化を確実に捉え、新たなビジネスチャンスを見逃さないための戦略を立てる必要があります。

参考記事:「FNNプライムオンライン」, 2024年5月20日
URL:https://www.fnn.jp/articles/-/700697

少子化の波が学校現場に与えるダメージ

学級数が6割減少の恐れ

新潟県による推計では、15年後の2038年に中学卒業者数が約7,500人も減少することが予想されています。これを学級数に換算すると、県内の高校の募集学級数が現在から約6割も減る恐れがあります。

学校の統廃合を進めたとしても、1学年4学級以上の県立高校を各エリアに最低1校ずつは残す必要があるため、ほとんどの高校が小規模化を余儀なくされることになります。極端な話、各校の募集学級数が2学級以下になる可能性さえあるのです。

募集学級数の減少は、生徒数の減少を意味します。生徒数の減少は、配置される教員数の削減にもつながります。それが教育の質の低下に直結するのは必至です。少子化の波が学校現場に壊滅的なダメージを与えかねない深刻な事態なのです。

質の低下が危惧される教育現場

教員数が減れば、生徒一人ひとりに行き届いた細かい指導ができなくなります。また、教科の選択幅が狭まったり、部活動の運営が難しくなったりするなど、学校教育の質を維持することが非常に困難になります。

県の有識者会議でも、委員から「教師を減らす必要がないという形にすれば、逆に言えば手厚い教育ができる」との意見が出ているように、人員の確保が喫緊の課題とされています。

加えて、小規模高校では、生徒の人数が少ないため、学びの環境が劣ってしまいます。グループディスカッションやグループワークなどの協調学習が適切に行えなくなったり、切磋琢磨する機会が減ったりするからです。生徒の人格形成や社会性の育成にもマイナスの影響を及ぼしかねません。

塾経営者が背中を押されるチャンス

基礎学力の補完役として期待される塾

公立高校での基礎教育が手薄になれば、その穴を民間の塾が補完する役割が一層重要になってくるでしょう。

基礎学力の定着が不十分な状態で、生徒が次の段階に進むと学習が大きく遅れてしまいます。そうならないために、塾での基礎学力の徹底的な底上げが求められます。国語、数学、英語といった主要教科はもちろん、理科、社会などの幅広い分野で、確かな基礎力を養う機会を提供することが塾の重要な使命となるはずです。

また、小規模高校では習熟度別のきめ細かい指導が行き渡りにくくなることが予想されます。生徒一人ひとりの学力に応じた適切な指導ができなくなるからです。塾では、生徒個々の理解度に合わせて、個別指導を行うことが可能です。このような強みを生かし、公立高校の穴を埋める役割を担うことになるでしょう。

専門分野を広げる塾ニーズの高まり

公立高校が小規模化、専門学科の統廃合が進めば、民間の塾に対する新たなニーズも見込まれます。工業科や商業科など、これまで高校で学べた専門分野の選択肢が狭まってしまうからです。

そこで、専門的な知識やスキルを教える塾に対する需要が高まるはずです。工業、ビジネス、デザイン、医療、福祉など、さまざまな専門分野の講座を用意することが重要になります。高校卒業後に就職を希望する生徒に加え、高度な資格取得を目指す生徒のための講座も検討する必要があります。

また、全ての生徒が高校で充実した専門教育を受けられないとすれば、キャリア教育の重要性も増してくるでしょう。職業観や勤労観を養う講座、面接指導や自己分析のプログラムなども塾のメニューとして検討する価値がありそうです。

まとめ

新潟県の公立高校で懸念される学級減と教育の質の低下という危機は、塾経営者にとっては新たな可能性の芽でもあります。生徒の基礎学力底上げや、専門教育の提供など、公立高校に代わり塾に求められる役割が広がるはずです。危機から生まれるビジネスチャンスを的確に捉え、戦略的に対応することで、塾経営の飛躍が期待できるでしょう。状況の変化に素早く対応し、着実に行動する事が成功への近道となります。