注目AIニュース25選(10/20~10/26)~日本の教育現場で活用できるのは何か

最新の生成AIニュース(2025年10月20日~10月26日)を、YouTubeチャンネル「いけともch」の池田朋弘氏が注目した25のキーワードで紹介します。

1. OpenAIがAI統合ブラウザ「ChatGPT Atlas」を発表

OpenAIは2025年10月21日、ChatGPTを統合したブラウザ「Atlas」をMac向けに発表した。
ブラウザ履歴を記憶する「ブラウザメモリ」機能により、閲覧したページの内容を保存し文脈に沿った回答を提供する。選択したテキストへの質問やエージェントモードによる自動操作も可能で、Chrome等の既存ブラウザに対抗する製品である。​​

2. ChatGPTに新機能「Company Knowledge」が追加

OpenAIはChatGPTのビジネス、エンタープライズ、教育プラン向けに「Company Knowledge」機能を追加した。
Slack、Google Drive、SharePoint等の社内アプリケーションと連携し、複数データソースを横断検索して回答を生成する。GPT-5ベースの専用モデルが複数情報源を分析し、引用付きで包括的な回答を提供する。

3. AnthropicがClaudeのメモリ機能を全有料ユーザーに拡大

Anthropicは2025年10月23日、Claudeのメモリ機能を全有料サブスクライバーに拡大した。
過去の会話内容を自動的に記憶し、ユーザーは記憶内容を可視化・編集できる点が特徴。プロジェクト単位で個別のメモリ空間を作成でき、異なる文脈を混同せずに管理可能である。​​

4. AnthropicがClaude CodeのWeb版をベータ公開

AnthropicはClaude Codeのウェブ版をベータ公開し、ブラウザからコーディングエージェント機能を利用可能にした。
GitHubと連携してプロジェクトを編集し、変更内容をリポジトリに反映できる仕組みである。スマホアプリからもアクセス可能で、移動中の依頼や進捗確認が容易になり利便性が向上した。​

5. 医療特化のChatGPT「OpenEvidence」

医療専門AIプラットフォーム「OpenEvidence」は2025年10月、評価額60億ドルで2億ドルを調達した。
7月の35億ドルから3ヶ月で評価額がほぼ倍増し、米国医師の40%が利用する急成長サービスである。NEJMやJAMA等の医療論文のみを学習データとし、全回答に引用を付けることで信頼性を確保している。

6. Alibabaが「Qwen Deep Research」を大幅アップデート

Alibabaは2025年10月、Qwen Deep Research機能を大幅にアップデートした。
リサーチレポート生成に加え、インタラクティブなウェブページや複数話者のポッドキャストを1〜2クリックで作成可能になった。Qwen3-Coder、Qwen-Image、Qwen3-TTSを統合し、テキスト・ビジュアル・音声の三次元的な情報提示を実現している。

7. NTTデータ×TCSが生成AIで営業活動を再構築

NTTデータは太陽光発電事業会社と協力し、生成AIによる営業活動の変革実証を実施した。
提案書の自動作成、建物情報調査、インサイドセールスの自動電話の3領域でAIを活用。PowerPointアドインを使用してテンプレートベースで提案書を段階的にカスタマイズし、数値シミュレーションは別プログラムで計算する現実的な手法を採用している。​

8. マネーフォワードが「交際費精算エージェント」提供開始

マネーフォワードは2025年10月15日、「交際費精算エージェント」の提供を開始した。
Slack上で領収書画像をアップロードするだけでAIが内容を解析し、経費明細データを自動作成する。Googleカレンダー情報から参加者を特定し、判断困難な項目は対話形式で確認するため、システムにログインせずに精算が完結する。

9. ウイングアーク1stがAI時代の改ざん対策サービス「Trustee」発表

ウイングアーク1stは生成AI時代の文書改ざん対策サービス「Trustee」を発表した。
AIによる領収書や請求書の偽造が容易になった現状に対し、発行時にタイムスタンプを付与することで真正性を証明する。従来は1件30秒かかっていたタイムスタンプ処理を1分間で1000件処理可能にし、低コストで大量処理を実現している。​​

10. Hondaが「ワイガヤ文化」発想のマルチエージェント型生成AIを発表

本田技研工業は、同社の「ワイガヤ文化」を模したマルチエージェント型生成AIシステムを発表し、国際学会で採択された。
部署ごとの専門知識を持つ複数のAIエージェントが議論する仕組みで、中央集約型、階層型、分散型、共有プール型の4パターンを検証した。結果、分散型の対話方式が最も高精度であることが判明し、組織横断的な意思決定支援への応用が期待される。​

11. Soraで「ペットCameo」が追加可能に

OpenAIは2025年10月23日、動画生成AIアプリSoraに「ペットCameo」機能を追加すると発表した。
従来は人間のみだったカメオ機能が、ペット、ぬいぐるみ、お気に入りのオブジェクトにも対応可能になる。参照動画を撮影することで、それらのキャラクターをAI生成動画に自然に登場させることができ、数日以内にリリース予定。

12. Microsoft Copilotが12の大型アップデートを今秋に実施

Microsoftは2025年秋、Copilotに12の大型アップデートを実施した。
会話に友人を招待してAIと共同で議論できる「グループ機能」や、対話型キャラクター「Mico(ミコ)」の導入が含まれる。メモリー機能の追加により、過去の会話内容を記憶して文脈に沿った回答を提供し、Copilot for Healthでは医療従事者向けの専門機能も強化された。​

13. Amazonが配送ドライバーにAIスマートグラスを導入

Amazonは配送ドライバー向けにAI搭載スマートグラスを導入すると発表した。
スマートグラスがリアルタイムでナビゲーション情報を表示し、両手を自由に使いながら効率的な配送が可能になる仕組みである。AIが最適な配送ルートを計算し、建物内での詳細な経路案内も提供することで、配送時間の短縮と生産性向上を実現する。​

14. AmazonがAIショッピング機能を米国で提供開始

Amazonは米国で生成AI搭載のショッピング支援機能「Help Me Decide」の提供を開始した。
ユーザーの質問や購買履歴をAIが分析し、最適な商品を推薦する対話型のショッピング体験を提供。複数の商品を比較検討する際の意思決定を支援し、パーソナライズされた提案により購買プロセスを効率化することを目的としている。​

15. Adobeが企業向けカスタムAI開発サービス「AI Foundry」を発表

Adobeは企業向けカスタム生成AI開発サービス「AI Foundry」を発表した。
企業が自社のブランドガイドラインやデザイン資産に基づいた専用の生成AIモデルを構築できるプラットフォーム。Adobe Fireflyの技術を基盤とし、商用利用における著作権の安全性を確保しながら、企業独自のクリエイティブワークフローに統合可能である。​

16. Mistral AIが企業向けAI運用基盤「AI Studio」発表

Mistral AIは企業向けのAI運用統合基盤「AI Studio」を発表した。
企業が独自のLLMモデルをカスタマイズし、社内システムに統合して運用できる包括的なプラットフォームである。モデルのファインチューニング、デプロイメント、監視機能を一元管理でき、欧州の厳格なデータプライバシー規制に準拠した設計となっている。

17. NTTが軽量高性能な日本語LLM「tsuzumi 2」を発表

NTTは2025年10月20日、純国産LLM「tsuzumi 2」の提供を開始した。
300億パラメータで超大規模モデルに匹敵する日本語性能を実現し、GPU1基で動作する軽量設計が特徴。金融・医療・公共分野の専門知識を強化し、ファイナンシャルプランニング2級合格に必要な追加学習量を競合モデルの約10分の1に削減した。

18. DeepSeekが「DeepSeek-OCR」を発表

DeepSeekは文字認識に特化した新モデル「DeepSeek-OCR」を発表した。
従来のOCR技術と大規模言語モデルを統合し、複雑なレイアウトや手書き文字、多言語混在文書の高精度認識を実現する。画像から文字情報を抽出するだけでなく、文脈を理解して構造化されたデータとして出力できるため、文書処理の自動化における実用性が高い。​

19. LLMの回答多様性を高めるプロンプト手法「Verbalized Sampling」

LLMの回答多様性を向上させる新プロンプト手法「Verbalized Sampling(VS)」が発表された。
従来のサンプリング手法とは異なり、プロンプト内で明示的に多様な視点や回答パターンを要求することで創造的な出力を促す。ブレインストーミングやアイデア生成タスクにおいて、単一の最適解ではなく幅広い選択肢を得られる点が評価されている。​

20. LangChainが1.25億ドル調達でエージェント開発基盤を強化

LangChainは2025年10月、シリーズBラウンドで1.25億ドル(約188億円)を調達した。
AIエージェント開発フレームワークの事実上の標準として、企業向けのエージェント構築基盤を強化する。複数のLLMやツールを統合してカスタムAIエージェントを開発できるプラットフォームを提供し、エンタープライズ市場での展開を加速させる方針である。​

21. Fal.aiがメディア特化AIで評価額40億ドル突破

メディア生成AI企業Fal.aiは評価額40億ドル(約6,000億円)で資金調達を実施した。
画像・動画・音声生成に特化したマルチモーダルAI基盤を提供し、リアルタイム生成の高速性が強みである。クリエイター向けツールから企業向けAPI提供まで幅広く展開し、メディア生成AI市場における主要プレイヤーとしての地位を確立している。​

22. OpenAIが「Japan Economic Blueprint」を発表

OpenAIは日本市場向けの経済構想「Japan Economic Blueprint」を発表した。
日本における生成AI活用による経済効果を試算し、生産性向上や新産業創出への貢献可能性を示した。日本語対応の強化、国内企業とのパートナーシップ拡大、AI人材育成支援などを通じて、日本のデジタル変革を推進する姿勢を明確にした。​

23. 自民党が高市新首相の偽AI広告に注意喚起

自民党は高市早苗氏を装った偽AI広告が出回っているとして注意喚起を行った。
生成AIを悪用した詐欺的な投資勧誘広告が増加しており、政治家の顔写真や音声を無断使用するディープフェイク被害が深刻化している。党は公式サイトやSNSで偽広告の見分け方を周知し、被害防止に向けた啓発活動を強化している。​

24. 生成AIの普及でWikipediaの閲覧数が減少

Wikimedia財団の調査により、生成AIの普及に伴いWikipediaの閲覧数が減少傾向にあることが明らかになった。
ChatGPT等のAIチャットが情報検索の代替手段として利用され、直接Wikipediaにアクセスするユーザーが減少。一方で、AIの学習データとしてWikipediaが活用されているため、間接的な影響力は維持されているとの見解も示されている。​

25. AI導入で「勤務時間増・余暇減少」の可能性が明らかに

AI導入が、労働者の勤務時間増加と余暇時間減少をもたらす可能性が研究で示された。
AIによる生産性向上が業務量削減ではなく、より多くの仕事をこなす期待につながり、結果的に労働時間が延びる傾向がある。AI活用による効率化の恩恵を労働者の生活の質向上に結びつけるには、組織的な働き方改革と適切な運用ルール策定が必要であると指摘されている。

日本の教育現場において注目すべきは?

AIツールのメモリ機能とデータ統合機能の進化でしょう。​

まず、ClaudeとChatGPTのメモリ機能は、生徒一人ひとりの学習履歴や理解度を自動的に記憶し、個別最適化された学習支援を実現できます。
特にClaudeは記憶内容を教師が可視化・編集できるため、生徒の理解度や課題を正確に把握しながら指導方針を調整することが可能です。

また、ChatGPTの「Company Knowledge」機能を教育機関向けプランで活用すれば、過去の指導記録や教材、保護者とのやり取りなどを横断検索し、生徒の状況を包括的に理解した上で適切なサポートを提供できます。​​

さらに、医療特化AI「OpenEvidence」のように信頼できる情報源に基づいた回答を提供する仕組みは、教科学習における正確性の担保にも応用可能です。

これらの技術を組み合わせることで、塾や学校は生徒の学習状況を長期的に追跡し、エビデンスに基づいた個別指導を実現できる時代が到来しています。


ぜひこの記事を参考に、今後の教育現場での生成AI活用を検討してみてください!

参考: