読みに困難のある子どもたちに公平なテストを:アクセシブルCBTとPNPの可能性

【日本DAISYコンソーシアム+JEPA共催】
日本における教科書のアクセシビリティは、日本DAISYコンソーシアムが長年にわたって取り組んできたデイジー教科書によって切り拓かれてきました。現在では全国の学校で導入が進み、ルビ表示、音声読み上げ、文字サイズ調整といった機能を備えた教材の提供が現実のものとなっています。こうした取り組みにより、アクセシブルな学習環境の実現に向けた試行と実装が着実に進んでいます。一方で、コンピュータを使った試験の方式であるCBT(Computer Based Testing)におけるアクセシビリティは、日本国内ではほとんど議論も実践もされていない分野です。欧州ではすでに、CBTのアクセシビリティは重要な社会的課題とされており、2025年施行の欧州アクセシビリティ法(EAA)によって、未対応のCBTは訴訟の対象となる可能性が指摘されています。
本セミナーでは、CBTにおけるアクセシビリティの国際的な動向と、日本における具体的な実現可能性についてご紹介します。特に、ディスレクシアなどの読みに困難を抱える受験者に向け、テスト画面の文字サイズ・配色・行間などを自動的に調整する「PNP(Personal Needs and Preferences)」という仕様の概要と、科研費基盤研究21H04419(研究代表者: 大学入試センター 南谷教授)によって開発されたデモをご紹介します。また、WordやExcelから簡単にアクセシブルなテスト問題を作成できるYasashiQTIと、PNPに対応したテスト受験を提供するAmp-up playerとの連携についてもご紹介します。