
個別最適な学びの実現と教員の業務負担軽減という、学校現場が抱える二つの課題を同時に解決する糸口が見えてきました。
学研グループが今年12月に提供を開始した「キミノスタディ」は、AIによる理解度判定とアダプティブな問題出題を実現しながら、あえて紙のノートに書いて解くというハイブリッド型の学習システムです。
塾向けに開発されたこのシステムには、デジタル一辺倒ではない、これからの学校教育へのヒントが詰まっています。
記事の要約
株式会社学研ホールディングス(東京都品川区)のグループ会社である株式会社文理(東京都品川区)は、2025年12月1日より、AIアダプティブ機能を搭載した塾向け個別最適学習システム「キミノスタディ(キミスタ)」の提供を開始した。
本システムは、生徒一人ひとりの理解度に応じてAIが最適な問題を判定し出題する仕組みである。
特徴的なのは、問題演習をノートに記述する紙学習と、出題・記録・分析をデジタルで行うハイブリッド型の学習方法を採用している点である。
理解度の測定には正答率ではなく、問題の間違え方から単元理解度をAIが判定する独自の指標を用いる。
演習を繰り返すたびに理解度が変動し、常に最適な問題が提案されるため、生徒は自分のレベルに合った問題をつまずきにくく解き進められ、演習量の大幅な増加が期待される。
問題は文理の塾用テキストから出題され、全国の塾で採用実績がある信頼性の高い教材で質を担保している。
(出典元:2025年12月11日 株式会社学研ホールディングス・ニュースより)
今後の学校教育への示唆と可能性は?
このシステムが示すのは、紙とデジタルの最適な融合による新しい学習モデルの可能性です。
学校教育においても、デジタル教材の導入と紙による思考の深まりの両立は大きな課題となっており、キミスタの「書いて考える紙学習」と「AIによる個別最適化」を組み合わせたアプローチは、一つの解決策となりえるでしょう。
特に、教員の業務負担軽減と生徒一人ひとりへのきめ細やかな対応という相反する課題を、AIの自動出題機能と学習履歴の可視化によって同時に解決できる点は注目に値します。
また、「自ら学びに向かう力」の育成が重視される中、AIが適切な問題を提示することで生徒が自走的に学習を進められる環境を整える点は、主体的・対話的で深い学びの実現にもつながります。
今後、塾での実践データを蓄積し学校現場への応用が進めば、個別最適な学びと協働的な学びを両立する新たな教育エコシステムの構築が期待できるでしょう。
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https://www.gakken.co.jp/ja/news/20249370289940365.html
