
2024年、小中高生の自殺者数は過去最多を記録しました。
そんな中、愛知県豊田市で今月から始まった全国初の「傾聴AI相談システム」は、学校教育現場にとって画期的な転換点となる可能性を秘めています。
従来のスクールカウンセラーや教育相談では、子どもたちが本当の悩みを打ち明けるまでに高いハードルがありました。
しかし、この24時間対応のAI相談では、匿名性を保ちながら「死にたい」「消えたい」といった深刻な悩みも吐露されており、ネガティブ感情が約20%低減する効果も実証されています。
学校現場における子どものメンタルヘルス対策の新たな可能性として、教育関係者が注目すべき取り組みとなりそうです。
【記事の要約】
株式会社ZIAI(東京都渋谷区)と愛知県豊田市が連携し、全国初となる「傾聴AIによるこころの健康相談」の実証実験を2025年8月18日より開始した。
この取り組みは、日本が抱える深刻な自殺問題に対応するもので、令和6年版自殺対策白書によると、G7諸国中で最も高い自殺死亡率(2024年に10万人あたり16.5人)を記録し、2024年には小中高生の自殺者数が529人と過去最多となった現状を受けたものである。
従来の電話や対面相談では心理的ハードルが高く、特にSNSを日常的に使用する若年層にとって文字による非対面コミュニケーションのニーズが高まっていた。
実証実験では、24時間いつでもどこでもデジタル空間で悩みを吐露でき、必要に応じて行政窓口へ自動連携される機能を提供する。
ZIAIの検証では、傾聴AI利用前後でネガティブ感情が約20%低減することが確認されており、根本的課題解決に向けた専門家による伴走支援への橋渡し役を担う。
(出典元:2025年8月18日 PR TIMES、同18日 こどもとITより)
学校教育への活用可能性と展望は?
この傾聴AIシステムは、学校教育において革新的な可能性を持っているでしょう。
まず、いじめや学業不振、友人関係の悩みを抱える児童・生徒が、教員や保護者に直接相談しづらい状況でも、24時間アクセス可能なAI相談により心理的な安全を保つ空間として機能します。
特に思春期の子どもたちは大人への相談に抵抗を感じることが多く、匿名性を保ちながら本心を吐露できるこのシステムは、早期発見・早期対応の重要なツールとなります。
さらに、AI相談で得られたデータの分析により、学校全体のメンタルヘルス状況を把握し、予防的な教育プログラムの設計に活用できます。
将来的には、個々の生徒の心理状態に応じたパーソナライズされた支援や、教員の指導方法の改善にも寄与する可能性があります。
また、不登校や登校しぶりの児童・生徒にとって、学校との継続的なつながりを維持する手段としても期待されるでしょう。
この技術が普及することで、子どもたちの心理的安全性を確保し、より包括的で持続可能な教育環境の構築が実現できると考えられます。