
今年8月22日開催の「教育AIサミット2025」を前に、台湾の教育現場から興味深い動きが伝わってきています。
台湾教育部が主催した8月「デジタル学習国際フォーラム」では、韓国、日本、タイなど各国の教育関係者が生成AIの教育応用について活発な議論を交わしました。
一方、日本の国主導では、文部科学省が生成AIの「限定的な利用」を推奨するガイドラインを示すにとどまっており、学校現場での具体的な活用方法には課題が山積しています。
台湾の積極的なデジタル教育推進と日本の慎重なアプローチ、この温度差は何を意味するのでしょうか。
教師の負担軽減や個別最適化学習の実現に向けて、両国の取り組みを少し比較検証してみましょう。
【記事の要約】
台湾教育部が2025年8月13日から14日にかけて台湾・台中市で開催した「デジタル学習国際フォーラム」は、生成AIとデジタル学習の未来を探る重要な機会となった。
台風11号の影響でハイブリッド形式での開催となったものの、韓国、日本、タイ、ドイツ、シンガポールなどから多数の専門家が参加し、各国のデジタル学習推進の経験を共有した。
台湾では2022年から「小中学校デジタル学習強化計画」を実施しており、オンライン学習プラットフォーム「因材網」を4時間以上利用した児童・生徒は、国語・英語・数学の評価テストで未利用者より大幅に高い合格率を記録した。
フォーラム2日目には豪州、英国、日本、台湾の研究者が「教室における生成AIの実践的応用」をテーマに議論を展開し、AI導入の成功要素について深い検討を行った。
(出典元:2025年8月14日 TAIWAN TODAYより)
日本の学校教育に活かせる点は?
台湾の先進的なデジタル学習推進事例は、日本の学校教育に大きな示唆を与えるでしょう。
文部科学省も2025年度に「生成AI活用による教育課題の解決・教育DXの加速」に多額予算を計上しており、台湾同様に組織的な取り組みが進んでいます。
しかし、台湾の「因材網」のような統一学習プラットフォームと比較すると、日本では学校や地域ごとの取り組みにばらつきが見られるのが現状です。
台湾の実証データが示すように、プラットフォームの複数機能を活用することで自己調整学習のサイクルが身に付くという知見は、日本の教育DX推進において参考になります。
今後、日本も台湾のように国レベルでの統一的なデジタル学習基盤を整備し、生成AIを学習パートナーとして効果的に活用する教育モデルの確立が期待されます。