AI導入で英語力向上を狙う文科省!新たに英語教育実施状況調査の結果公表~320校の実証実験で変化は?

日本の中高生の英語力向上が急務となる中、文部科学省が切り札として期待するのがAI技術です。

文科省は今月23日、全国の公立学校を対象にした2024年度英語教育実施状況調査の結果を公表。

2025年度には全国320校でAIを活用した英語授業が本格始動し、既に導入した学校では驚くべき成果が報告されています。

果たしてAIは日本人の英語力不足という長年の課題を解決できるのでしょうか。

【記事の要約】
文部科学省が2024年度に実施した英語教育実施状況調査によると、英検3級相当以上の英語力を持つ中学3年生は52.4%、英検準2級相当以上の高校3年生は51.6%となり、それぞれ前年度から2.4ポイント、1.0ポイント増加した。
しかし、政府が掲げる「2027年度までに60%以上」という目標には依然として届いていない。

この課題解決のため、文科省は人工知能(AI)の活用に注目している。
2024年度に約80校、2025年度には約320校をモデル校に指定し、英語授業へのAI導入を推進している。
日本の英語教育では「聞く・話す・読む・書く」の4技能を実践的に使う時間の不足が大きな課題とされており、AIを活用することで会話練習や文章添削など、実際に英語を使う機会を大幅に増やすことが可能だ。

実際の成果も現れてきている。
東京都渋谷区立渋谷本町学園中学校では、AIアプリ「ELSA for Schools」を活用した発音練習により、生徒の発音が改善され、聞き取り能力や話す力の向上にもつながっている。
また、ある自治体では4カ月から半年間のAI英会話により、英検3級相当以上の話す力を持つ生徒の割合が4割から6割に増加した。
文科省は2025年度に約6億円を確保し、モデル校での効果検証を進めている。
(出典元:2025年6月23日 共同通信、同23日 日本経済新聞より)

今後の学校教育への活用と可能性は?

AI技術の導入は、従来の英語教育の課題を解決する画期的な手段となるでしょう。

特に個別最適化された学習が可能となり、生徒一人ひとりの習熟度に応じたフィードバックを瞬時に提供できます。
これにより、教師は従来の一斉授業から脱却し、より創造的で実践的な指導に集中できるようになります。

家庭学習においても、AIは24時間いつでも利用可能な英会話パートナーとして機能し、学習機会の格差解消にも貢献できます。
また、発音練習から文章作成まで、包括的な英語学習支援が実現できます。

将来的には、AIが蓄積する学習データを分析することで、より効果的な教育手法の開発や個人の学習特性に基づいたカリキュラム設計が可能になります。
また、多言語対応のAIシステムにより、英語以外の外国語教育への展開も期待されるでしょう。
さらに、VRやARと組み合わせることで、仮想的な海外体験や実践的なコミュニケーション環境を教室内に再現できる可能性もあります。