
英語教育の現場で長年課題となっている「話す機会の不足」と「学習意欲の向上」に、新たな解決策が登場します。
東京書籍が文部科学省の「AI活用による英語教育強化事業」の実証実施団体として採択され、生成AIを活用した対話型学習サービス「教科書AIワカル」を全国10校で展開することが決定しました。
このサービスは中学校英語教科書『NEW HORIZON』に完全準拠し、生徒がAIと自然な対話を通じて発話力・表現力を主体的に高められる画期的なシステムです。
今年5月から始まっているこの実証研究は、日本の英語教育を根本から変革する可能性を秘めており、教育現場での具体的な活用方法や効果について注目が集まっています。
【記事の要約】
東京書籍株式会社(東京都北区)は、文部科学省が実施する「令和6年度 小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業(AIの活用による英語教育強化事業)」において実証実施団体として採択された。
本事業では、同社が開発した生成AI活用の対話型学習サービス「教科書AIワカル」を用いて、英語学習における可能性と有効性を学校現場で検証する。
本事業の目的は、生成AIの活用により生徒の「話すこと」や「書くこと」の活動を質・量ともに充実させ、学習意欲を高めることで英語教育の抜本的強化を図ることである。
日本の英語教育における長年の課題である「英語を使う機会の少なさ」や「学習の動機づけの弱さ」に対し、AI活用による新たな教育モデルの構築を目指しており、事業期間は2025年5月から2026年1月末までの予定である。
「教科書AIワカル」は令和7年度版中学校英語教科書『NEW HORIZON』に完全準拠しており、生徒はAIとの自然な対話や英語会話シミュレーションを通じて発話力・表現力を主体的に高めることができる。
チャット形式のインターフェース、音声読み上げ機能、実生活を想定した会話演習機能などを備え、個々の生徒のペースに合わせた学習を支援する設計となっている。
東京書籍は全国10校のモデル校に本サービスを提供し、授業や家庭学習での活用方法や教育効果の実証研究を進める。
立命館大学やインパクトラボとの連携により、学校現場に根ざした変革を推進し、全国規模での英語教育の質的向上に貢献することを目指している。
(出典元:2025年6月20日 PR TIMESより)
今後の学校教育への活用と将来の可能性は?
この取り組みは、従来の一斉授業では実現困難だった個別最適化された英語学習環境の構築を可能にします。
生成AIを活用することで、生徒一人ひとりが自分のレベルや興味に応じて英語での対話練習を行えるため、従来の課題であった「話す機会の不足」を根本的に解決できる可能性があります。
特に注目すべきは、教科書準拠型のAIサービスという点です。
これにより、授業で学んだ内容を即座にAIとの対話で実践できるため、学習の定着率向上が期待されます。
また、24時間いつでも利用可能な特性により、家庭学習の質的向上も見込まれます。
将来的には、この成功事例が他教科にも展開され、個別最適化された学習環境が全教科で実現する可能性があります。
さらに、蓄積される学習データを分析することで、より効果的な教育手法の開発や、生徒の学習状況に応じたきめ細かい指導が可能になるでしょう。