
55年の歴史を持つ「進研ゼミ」が大きな転換点を迎えています。
ベネッセホールディングスが発表した高校生向け進研ゼミの完全デジタル化は、単なる教材のオンライン化ではなく、AI講師との対話を通じて思考力を育む新たな学習体験を提供するものです。
この改革は、変化する大学入試への対応だけでなく、日本の教育システム全体に大きな示唆を与えていますが、デジタル技術と教育の融合がもたらす可能性とは——。
【記事の要約】
ベネッセコーポレーションは、55年の歴史を持つ「進研ゼミ」から、大学受験向けデジタル学習サービス「難関合格 進研ゼミ√Route(ルート)大学受験」を2025年3月3日より提供開始。
このサービスは「対話で伸ばす デジタル予備校」をコンセプトに、志望大学別の演習カリキュラムと生成AIを活用した対話型学習を組み合わせたもの。
月額7,980円で、AI講師との対話型学習、高校3年分の7教科24科目の演習・解説が学び放題となり、従来の塾・予備校よりも大幅に安価で提供される。
従来の「進研ゼミ高校講座」とは異なり、紙教材の配送はなく、月号カリキュラムもない完全デジタルのサービスで、学年を問わず自分のペースや進路希望に合わせた自由進度で学習できる。
このサービス転換は、難関大学合格に必要とされる高度な思考力への対応や、AI技術革新の時代における教育サービスの刷新を目的としている。
ベネッセは2027年3月までに従来の高校講座を新サービスに完全移行する計画だ。
(出典元:2025年2月25日 日本経済新聞より)
日本の教育への示唆と可能性は?
ベネッセの進研ゼミデジタル化は、日本の教育における重要な転換点を示しています。
生成AIによる「対話型学習」の実現は、これまで学校や塾でしか得られなかった双方向的な学びをオンラインで可能にし、教育のアクセシビリティを大きく向上させます。
この変化は、2025年度から大学入学共通テストに「情報I」が導入されるなど、デジタル技術の知識・スキルへのニーズが急増している教育環境に対応するものです。
また、ベネッセが2025年4月から中高生向けに「プログラミング講座」を新設することからも、デジタルスキルと思考力を組み合わせた教育の重要性が高まっていることがわかります。
将来的には、AIとの対話を通じた学習が思考力や情報活用能力の育成に貢献し、教育のパーソナライゼーションがさらに進むでしょう。
こうした変革は、学校教育においても「人を中心とした」デジタルトランスフォーメーションを促し、教師の役割を知識の伝達者から学習ファシリテーターへと変化させる可能性を秘めています。