AIが子どもの心の声を拾う!柏市の小中学校で実施のAIチャット相談結果に期待大

「先生や家族には言えないけど、AIならば話せる」

千葉県柏市の小中学校で実施されたAIチャット相談の実証実験で、ある生徒がこう打ち明けました。

株式会社ZIAIが開発した悩みチャット相談システムは、従来の相談窓口と比べて相談件数が10倍以上に増加し、生徒満足度93.6%という驚異的な結果を残しています。

いじめや不登校が過去最多を記録する現代の教育現場で、子どもたちの声なき声を拾い上げる新たな可能性が見えてきました。

【記事の要約】
柏市の教育現場において、株式会社ZIAIが開発した生成AIを用いた悩みチャット相談システムのモデル実証が実施された。
この取り組みは、増加するいじめや不登校、児童虐待やひきこもりといった子どもの悩みを早期発見・解決することを目的としている。

実証結果は注目に値するものであった。従来の外部カウンセラーへの相談窓口と比較して、相談件数が10倍以上に増加した。
総相談時間は275.4時間に及び、1回の相談につき平均9ターンの対話が行われた。さらに、生徒の満足度は93.6%と非常に高い評価を得た。

生徒からは「先生や家族に言えないことも、AIなら簡単に言える」「人相手よりも自分の気持ちを素直に伝えられた」といった声が寄せられた。
これらの反応は、AIが生徒たちにとって安全で信頼できる相談相手として機能していることを示している。

このシステムの特徴は、生徒が24時間いつでもどこでも悩みを相談できる体制を整えたことにある。
従来のスクールカウンセラーの配置では対応しきれなかった生徒の悩みに、AIが初期接点として機能し、必要に応じて適切な支援へと繋げる役割を果たしている。

ZIAI社は、この実証結果を受けてAIアルゴリズムとシステムの継続的改善、生徒への最適な周知方法の模索・改善、より多くの教育委員会・学校での導入支援を進めていく方針を示している。
(出典元:2025年3月26日 こどもとIT、同25日 株式会社ZIAIプレスリリースより)

今後の学校教育への活用可能性は?

AIチャット相談システムは、今後の学校教育に大きな可能性をもたらします。
まず、生徒たちが気軽に悩みを打ち明けられる環境を提供することで、従来見過ごされてきた問題の早期発見・対応が可能になります。
これにより、いじめや不登校、自殺などの深刻な問題を未然に防ぐことができる可能性が高まります。

また、教員の負担を増やすことなく、生徒一人ひとりに寄り添うことができるという点も重要です。
AIが初期段階での相談役を担うことで、教員やスクールカウンセラーは、より専門的な支援が必要なケースに集中して対応できるようになります。

さらに、AIによって収集されたデータは、生徒の心理状態や学校生活の課題を把握する貴重な情報源となります。
これらのデータを適切に分析・活用することで、より効果的な教育支援策の立案や、個々の生徒に合わせたきめ細かな指導が可能になるでしょう。

将来的には、AIチャット相談システムと他の教育テクノロジーを統合することで、より包括的な学習支援システムの構築も期待できます。
例えば、学習進捗や生活習慣のデータと組み合わせることで、生徒の全人的な成長を支援する統合的なプラットフォームの実現が視野に入ってきます。

このように、AIチャット相談システムは、生徒の心のケアと学習支援を両立させる新しい教育モデルの基盤となる可能性を秘めています。
今後の更なる研究と実践を通じて、より多くの学校でこのシステムが活用され、子どもたちの健やかな成長を支える強力なツールとなることが期待されます。