中学受験を控えた子どもたちが、想像を絶する「教育虐待」を親や塾から受けていることがわかりました。子どもの将来を思う気持ちが、行き過ぎた場合の深刻な結果です。塾経営者の皆さん、この問題に目を向け、教育における虐待防止に努めましょう。
参考記事:「朝日新聞DIGITAL」, 2024年7月9日
URL:https://www.asahi.com/articles/ASS6T3F2DS6TTIPE00RM.html
中学受験期の教育虐待の深刻な実態
親からの教育虐待の実態
調査によると、中学受験を経験した子どものうち、父親から13.6%、母親から12.8%が「成績の推移や勉強に関連して暴力を振るわれた」と回答しています。また「人格や人生を否定されるような発言を受けた」とする経験も父親からが10.5%、母親からが14.3%と決して少なくありません。
中学受験という特殊な事象が、子育ての在り方を狂わせているようです。子どもの将来を思う気持ちは理解できますが、勉強を口実に子どもに暴力を振るったり、人格を否定するような発言をするのは決して許されることではありません。これらは明らかな児童虐待であり、子どもの心身に深刻な傷を残します。親は常に子どもの最善の利益を第一に考え、虐待に走ることのないよう自制心を持つ必要があります。
塾や家庭教師からの教育虐待の実態
塾や家庭教師からの虐待も無視できない実態があります。調査では26.3%の子どもが「わからない問題があった時などに、嫌な態度を取られた」と回答。さらに「人格や人生を否定されるような発言」「成績や勉強に関連した暴言や暴力」を受けた子どももそれぞれ1割を超えていました。
講師として最低限の資質や倫理観を持たない一部の指導者によって、子どもたちが肉体的・精神的な虐待を受けているのです。塾経営者としては、指導者一人一人の資質と指導体制を常に確認し、問題があれば早期に対処する必要があります。
教育虐待が起こる背景
中学受験に対する過剰な期待とプレッシャー
中学受験を巡る教育虐待の背景には、受験に対する過剰な期待とプレッシャーが存在します。調査でも「中学受験においては一般的な学習よりも厳しい指導が必要」と考える親が多数でした。しかし、過度の期待や圧力は子どもにダメージを与え、虐待に繋がる危険性があります。
そのため、子ども一人一人に合わせた適切な指導をすることが大切です。時には「ゆっくりでいい」と子どもを励まし、精神的なサポートも怠ってはなりません。過度の期待に子どもが耐えられなくなれば、心身共に大きなダメージを受けかねません。塾経営者および指導者は、適切な指導の在り方を常に意識する必要があります。
子どもの成功が親の自己実現に
さらに、子どもの中学受験を親が自身の自己実現と捉えてしまうケースも少なくありません。親は子どもに過大な期待をかけ、成績が伸びないと子どもを責めるような態度に出がちです。しかし子育ては決して親の思い通りにはいきません。子どもの個性や才能を尊重し、無理強いすることなく見守る心構えが何より大切なのです。
親が我が子の成功や名門校合格を、自分の人生における至上の目標と捉えすぎると、子どもへの虐待に走ってしまう恐れがあります。塾経営者一人一人が、保護者に対する適切な指導や啓発活動を行うことで、この問題の解決に貢献できるでしょう。
まとめ
今回の調査結果から、中学受験期の子どもたちが、親や塾から深刻な教育虐待を受けている実態が明らかになりました。勉強を名目とした暴力や人格否定など、決して許されるものではありません。その背景には中学受験への過剰な期待とプレッシャー、さらには親の自己実現欲求があると考えられます。
塾経営者およびその指導者は、適切な教育指導を心がける一方で、保護者に対する啓発活動にも力を入れることが重要です。子どもの最善の利益を第一に考え、教育虐待の無い健全な環境づくりに努めていきましょう。