13歳から始めたEdFusionが個人事業としての創業から2周年を迎え、学校・企業・自治体を横断したAI教育の実践を広げています。探究学習や生成AI活用を進めたい教育関係者にとって、共創型プログラム設計のヒントになる動きです。
2周年を迎えたEdFusionの現在地
株式会社EdFusion(愛知県名古屋市)は、代表の近藤にこる氏が13歳で立ち上げた教育AI事業で、2026年7月29日に個人事業としての創業から2周年を迎えました。小さなカフェで5人規模のAIスクールを始めた取り組みは、その後、全国の学校、企業、自治体との連携へと広がり、2026年3月には法人化。2025年には年間104回の登壇・ワークショップを実施したとしています。
同社が掲げるのは、年齢や性別、国籍、家庭環境、対話の得意不得意にかかわらず、誰もがAIを活用して「好き」や「やってみたい」を社会につなげられる状態です。単なるAI活用スキルの習得ではなく、挑戦の機会そのものを増やすことに重心を置いている点が特徴です。
事業の原点は「選択肢に出会えていない子」への問題意識
近藤氏は12歳で学校の総合学習を通じて起業という選択肢を知り、その後、中学校内で起業部を立ち上げたといいます。そこから教育と社会課題を掛け合わせる活動を進め、AIへの関心を深めながらEdFusionの創業に至りました。
背景にあるのは、「挑戦できないのは能力がないからではなく、きっかけや選択肢に出会えていないからではないか」という問題意識です。地方の子ども、不登校傾向のある子ども、家庭事情で体験機会が限られる子ども、人前で話すのが得意でない子どもなど、従来の評価軸では見えにくい可能性を、AIによる表現・制作・発信の機会で引き出そうとしています。
学校・企業・自治体をまたぐ実践が広がる
同社の活動は、教育機関内に閉じていない点も注目されます。企業との共創では、社員の子どもが保護者の仕事を聞き取り、生成AIを使ってオリジナルECサイトを制作するプログラムを実施。仕事理解、家族の対話、キャリア教育を横断する設計になっています。
また、老舗和菓子店との取り組みでは、伝統文化を学びながらAIで3Dキャラクター制作を行うなど、地域文化と先端技術を接続。自治体との連携では、幼児から高齢者までが参加し、AIを使って自分と地域の10年後を考える世代横断型ワークショップも展開しています。
学校向けには高校や中高一貫校などでAIセミナーやワークショップを実施しており、子どもを「教えられる側」に固定せず、企業や地域と未来を考える共創パートナーとして位置づけていることがうかがえます。
AIエージェント時代に向けた「共育」という視点
今回のリリース情報では、AIエージェントが調査、制作、分析、発信まで担う時代には、一方向に知識を教える教育だけでは不十分だとしています。その代わりに重視されるのが、一人ひとりの「好き」「問い」「やってみたい」を起点に学びを組み立てることです。
同社はこの考え方を「共育」と表現しています。大人が教える、子どもが学ぶという固定的な役割分担ではなく、世代や立場を超えて共に考え、試し、形にする関係です。探究学習やPBL、キャリア教育、地域連携学習を進める学校にとっては、生成AIを単独のICTツールとして導入するのではなく、学習者の主体性を引き出す設計と一体で考える必要性を示す事例といえます。
受賞・発信実績から見える社会的な注目度
これまでの歩みとしては、教育AI関連イベントでの登壇・出展に加え、2025年にはワークショップ「Butterfly Base」が日本青年会議所の価値デザインコンテストで文部科学大臣賞を受賞。2026年にはForbes JAPANの「テクノロジー領域で世界を変える女性30人」に代表が選出されるなど、対外的な評価も広がっています。
教育現場の視点では、こうした受賞歴そのものよりも、学校外の多様なステークホルダーを巻き込みながら、子どもの探究を社会接続している点に学ぶ余地があります。AIを学ぶことを目的化せず、地域、仕事、文化、将来像と結びつけている点が実践の核になっています。
💡 先生へのポイント
- 生成AIの導入は、操作指導だけでなく「何を表現したいか」という問いづくりとセットで設計する
- 探究学習では、企業・自治体・地域文化と接続すると学びの当事者性が高まりやすい
- 発話が得意な生徒だけでなく、制作やリサーチ、デザインで力を発揮する生徒にも役割を用意する
- 子どもを受け身の参加者ではなく、社会への提案者・共創者として位置づける視点が重要
まとめ
この度の創業2周年は、若年起業家の話題性にとどまらず、AI時代の学びをどう社会とつなぐかを考える材料を提供しています。学校現場でも、生成AIを活用した探究を「教える技術」ではなく「挑戦を生む仕組み」として設計できるかが、今後の実践の分かれ目になりそうです。
出典:13歳で始めた教育AI事業「EdFusion」が創業2周年【15歳起業家・近藤にこるが描く未来】 | 株式会社EdFusionのプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000178620.html




