この度、アタムアカデミーの保護者460人調査で、小中学生が使うAIツールはGeminiとChatGPTが中心であることがわかりました。学校・塾では、活用促進だけでなく「思考力を落とさない使い方」をどう設計するかが重要な示唆です。
利用実態は「対話型AI」が中心
株式会社アタム(東京都港区)の運営するオンラインイラスト教室・アタムアカデミーが小中学生の保護者460人を対象に実施した調査によると、子どもが使っているAIツールの1位はGemini(42.6%)、2位はChatGPT(40.9%)でした。続いてAlexa、Siri、Copilotが挙がり、対話型AIに加えて音声アシスタントも日常的に使われている実態が見えます。
GeminiやChatGPTの使い道は、読書感想文の構成づくり、宿題の解き方の確認、調べ学習、生活や部活動の計画づくりなど多様です。一方、AlexaやSiriは天気確認、動画検索、翻訳、漢字の読み方確認など、短時間で済む用途が中心でした。学校現場で想定すべきAI活用は、レポート代筆のような極端なケースだけではなく、検索・相談・音声操作まで含む広い範囲に及んでいます。
保護者の見方は「期待」が優勢
「AIは子どもの成長に良い影響がある」と答えた保護者は70.9%にのぼりました。理由の上位は「効率が良くなる」(25.5%)と「将来必要なITスキルが身につく」(25.2%)です。
背景には、わからないことをすぐ質問できることで学習が止まりにくくなること、要約や検索の補助によって知的好奇心を広げやすいこと、将来の社会でAI活用が前提になるという見通しがあります。特に教育関係者にとって注目したいのは、保護者がAIを“学習そのものの代替”ではなく、“学習を支える補助ツール”として前向きに捉えている点です。
最大の懸念は「思考力の低下」
一方で、「悪い影響がある」と考える保護者も一定数おり、その理由の最多は「思考力が低下する」(64.9%)でした。次いで「自分で調べなくなる」(23.1%)が続きます。
この結果は、教育現場がAI導入時に最も丁寧に扱うべき論点を示しています。つまり問題はAIの有無ではなく、子どもが
「考える前に答えをもらう」のか、
「考えたあとに比較・検証に使う」のかです。
AIの回答をそのまま採用する使い方では、情報の真偽を見極める力や、自分の言葉でまとめる力が育ちにくくなる可能性があります。授業や宿題でAIを扱うなら、出力結果の検証、根拠確認、別解の比較までを一連の学習活動として設計する必要があります。
「読み書きレベルで必要」が最多に
AIスキルの必要度については、「読み書きレベルで必要」が27.8%で最多でした。次いで「教養のひとつとして必要」が26.5%となり、保護者の多くがAIを基礎的リテラシーとして捉えていることがわかります。
ここで重要なのは、高度なプロンプト技術よりも、まずは基本的な使い方と注意点を身につけることです。学校や塾では、AIを使えるかどうかだけでなく、何を任せ、何を自分で行うかを判断する力を育てることが求められます。これは情報モラル教育や探究学習、文章表現指導とも接続しやすいテーマです。
家庭と学校の役割分担をどう考えるか
調査では、家庭教育協会「子育ち親育ち」代表の田宮由美氏が、AI活用の環境整備や発達段階に応じた指導について、家庭と学校の連携が重要だと指摘しています。
現場実装の観点では、低学年ほど音声AIや簡単な質問から始め、中学年以降で要約・比較・発想支援へ広げるなど、段階的な導入が現実的です。また、提出物では「AIに何を聞いたか」「どこを自分で判断したか」を書かせるだけでも、丸投げ防止とメタ認知の促進につながります。
💡 先生へのポイント
- AI利用の可否ではなく、使う場面と使わない場面を明確にする
- 宿題や作文では「AIの回答をそのまま提出しない」ルールを具体化する
- 出力の根拠確認、誤り探し、比較検討を授業活動に組み込む
- 保護者向けに、家庭での見守り方や推奨ルールを共有すると効果的
- 音声AIも含め、子どものAI接触はすでに日常化している前提で指導設計する
まとめ
今回の調査は、小中学生のAI利用がすでに学習補助、調べもの、創作、日常支援へ広がっていることを示しました。教育現場では、活用を止めるか進めるかではなく、思考力や判断力を守りながらAIリテラシーを育てる設計が今後の鍵になりそうです。
出典:【小中学生が使っているAIツールランキング】パパ・ママ460人アンケート調査 | 株式会社アタムのプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000059.000038075.html




