日本語指導を担任任せにしがちな現場で、ICT教材の必要性が強く意識されていることが分かりました。教員の負担軽減と個別最適な学びの両立に向け、学校・自治体が押さえるべき論点を整理します。
調査で見えた日本語指導の現場課題
株式会社すららネット(東京都千代田区)の調査では、日本語指導が必要な児童生徒への対応経験がある教員は過半数にのぼる一方、専門研修を受けた経験がある教員は約1割にとどまりました。日本語レベルの異なる子どもが同じ教室にいる中で、教科指導と日本語指導を両立する負担は大きく、実際には「担任による個別対応」に依存する場面が多いことも明らかになっています。
外国ルーツの子どもの増加に対し、指導体制や人員、予算が追いついていないという構造的な課題が背景にあります。
ICT活用への期待は教員・管理職ともに高い
日本語指導にICT教材が有効だと考える回答は全体で8割超、教育委員会・管理職では9割超に達しました。現場だけでなく、自治体や管理職側でもICTの必要性が強く認識されていることがうかがえます。
期待されている機能は、母語で意味を確認しながら学べること、学習者の理解度に応じて進められること、場所を選ばず継続できることなどです。従来の一斉指導では対応しにくい学びを補う手段として、ICTの役割が大きくなっています。
GIGA整備後も「使い切れていない」現実
1人1台端末の整備が進んでも、日本語指導の場面では活用が十分ではありません。調査では、個別学習でICTを全く利用していない割合が35.1%、学習ログを全く活用していない割合が64.9%でした。
端末はあるのに、学習状況の可視化や個別最適化に結びついていない点は見逃せません。日本語指導では、学習のつまずきを早く把握し、必要な支援につなげる運用設計が重要になります。
教材だけでなく、研修と伴走支援が鍵
調査では、「ICTを授業でどう活用するか」という具体的な実践方法へのニーズが73.9%に上りました。さらに、「ことばの習得プロセスに基づいた効率的な指導方法」や、「経験の少ない教員でも自信を持てる継続的な学びの場」への要望も目立ちます。
すららネットは、教材提供に加えて研修やコミュニティ支援も行い、現場での実践を後押ししています。2026年2月には、大田区立糀谷中学校夜間学級で教員向けのICT活用研修会も実施しました。
学校・自治体が考えたい導入のポイント
日本語指導でICTを導入する際は、単なる端末活用ではなく、指導設計と人材支援をセットで考えることが重要です。専門家も、ICTと日本語教師などの人的支援を組み合わせる体制が必要だと指摘しています。
「教材を入れて終わり」ではなく、学習ログの確認、母語支援、習熟度に応じた課題設定まで含めて運用できるかが、導入成果を左右します。
💡 先生へのポイント
- 日本語指導は担任任せにせず、校内で役割分担を見直す
- ICTは「個別学習」だけでなく、理解度把握や振り返りにも使う
- 研修は一度きりではなく、授業での使い方まで具体化する
- 外国ルーツの子どもには、母語での確認や段階的学習が有効
まとめ
外国ルーツの子どもの増加に対し、日本語指導の体制整備は待ったなしの課題です。今回の調査は、ICT教材への期待が高い一方で、実際の活用や研修が追いついていない現状を示しました。学校現場では、教材・研修・人的支援を組み合わせた持続可能な仕組みづくりが求められています。
出典:日本語指導、ICT活用が不可欠に 教員の8割超が「ICT有効」と回答 外国ルーツの子どもの学びの保障に向けた実態調査 | 株式会社 すららネットのプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000608.000003287.html




