都内公立学校の児童・生徒を対象にした調査で、家庭学習における生成AIの利用経験が前年度の16.9%から38.0%へと急増しました。あわせて、ネット上で知らない人とやりとりする機会も増えており、学校現場での情報リテラシー教育の重要性が高まっています。
生成AIが「特別なもの」から「日常の学習ツール」へ
東京都教育委員会が公表した令和7年度「児童・生徒のインターネット利用状況調査」では、家庭で学習する際に生成AIを「使ったことがある」と答えた児童・生徒が38.0%に達しました。前年度の16.9%から2倍以上の増加で、生成AIが子どもたちの学習に急速に浸透している様子がうかがえます。
背景には、調べ学習や作文、アイデア出しなどでAIを試しやすい環境が広がっていることがあります。一方で、生成AIの回答をそのまま信じてしまうと、誤情報や偏りを含む可能性もあるため、使い方の指導が欠かせません。
学校に求められるのは「使い方」だけでなく「見極め方」
東京都教育委員会は、生成AIの特性や留意点を理解し、適切に活用する力を育てるため、都内公立学校に生成AIリテラシー教材を提供しています。児童・生徒向けだけでなく、教員向け教材も用意されており、授業や校内研修での活用が想定されています。
学校現場では、AIを禁止するかどうかの議論だけでなく、どの場面で使うと学びが深まるのか、どの情報を信頼しないべきかを具体的に教えることが重要です。特に、引用の確認、複数情報源との照合、個人情報を入力しないといった基本動作を、学年に応じて繰り返し扱う必要があります。
ネット上の「知らない人とのやりとり」も増加傾向
今回の調査では、インターネット上で知らない人とやりとりをした経験がある児童・生徒の割合も増加傾向にあることが示されました。きっかけとなる話題は、ゲーム、アニメ・漫画、趣味の情報交換など、子どもたちに身近な関心事が中心です。
「いいね」やコメント、メッセージなど、日常的な操作を通じて交流が始まるため、保護者や学校が把握しにくい形でコミュニケーションが進む可能性があります。学習用端末の活用が進むほど、情報モラルやSNSの安全な使い方を、教科横断で扱う必要性が増しています。
現場で活かせる東京都の教材
東京都教育委員会は、情報教育ポータルサイト「とうきょうの情報教育」に「GIGAワークブックとうきょう」などの補助教材を掲載し、学校現場での活用を進めています。生成AIリテラシー教材とあわせて、授業、学級活動、家庭学習の連携に使いやすいのが特徴です。
EdTech担当者にとっても、生成AIの導入支援は機能提供だけでなく、リテラシー教材や運用ルールの整備まで含めた提案が求められる局面に入っています。学校や自治体向けのサービスでは、学習効果と安全性の両立をどう設計するかが差別化のポイントになりそうです。
💡 先生へのポイント
- 生成AIは「使わせるか」より「どう使わせるか」を授業で共有する
- 回答の正確性確認、出典確認、個人情報入力禁止をセットで指導する
- ゲームやアニメなど身近な話題から、SNSの危険性を具体的に扱う
- 学級活動や情報の時間で、家庭学習の使い方まで話題を広げる
まとめ
東京都の調査から、生成AIが子どもたちの学習に急速に入り込んでいることが明らかになりました。同時に、ネット上での見知らぬ相手とのやりとりも増えており、学力向上と安全教育を同時に進める必要があります。学校現場では、教材整備とルールづくりを両輪で進めることが重要です。
出典:生成AI、子供たちの学習に急速に浸透 ~都内公立学校児童・生徒の利用が1年で倍増~|4月|東京都教育委員会 https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/04/2026042308




