今年7月、福島県福島市が県北エリアの高校生を対象にした放課後活動「ふくしまAI部」の参加者募集を開始しました。AI活用の基礎から地域課題の分析、企業・行政向け発表までを一貫して体験でき、学校の探究学習や地域連携の参考になる取り組みです。
放課後活動として設計されたAI×地域探究
福島市では7月、高校生向けの放課後プロジェクト「ふくしまAI部」の部員募集を始めました。対象は福島市・県北エリアの高校生で、定員は25人、参加費は無料。
活動ではAIやデータを使いながら福島市の地域課題を学び、仲間とともに解決策を考えます。授業外の場として「失敗OK」を掲げている点も特徴で、探究とデジタル活用を結びつけた実践の場として注目されます。
活動期間は令和8年9月から令和9年2月までの全10回で、会場は福島市市民センター。高校生がAIを単なる便利ツールとして使うのではなく、地域理解、情報整理、表現、提案までを段階的に学べる構成になっています。
初回は「AIこんにちは」として、質問、翻訳、要約などを試しながら、AIの基本的な使い方と誤りの見抜き方を学習。続く回では、福島に関するカスタムAIの作成、地域データの分析、スライドや図解による可視化、AIを使った画像・動画生成など、実践的な内容が並びます。
中盤以降は、地元企業への訪問とインタビューを通じて現場感覚を得たうえで、チームごとに「自分たちが解決したい福島の課題」を設定。課題マップの作成、解決策の発想、提案書や模擬ホームページの制作、発表準備を経て、最終回では企業・行政の前で成果発表を行います。
生成AIの活用とリテラシー教育を両立
参加にはGoogle Workspaceを利用できるGoogleアカウントが必要で、GeminiやNotebookLMの活用が前提となっています。持ち物はノートパソコンで、各学校の授業で利用している端末の持参が想定されています。
注目したいのは、AI活用の利便性だけでなく、個人情報や著作権への配慮、AIの回答を鵜呑みにしない姿勢を明示している点です。案内では、活動を通じて適切なAI利用を学ぶとしており、技術体験と情報モラル教育をセットで進める設計になっています。学校現場で生成AI導入を検討する際のモデルケースとしても参考になります。
行政・企業・地域が支える実践型プログラム
主催は「ふくしまデジタル推進協議会 ふくしまAI部プロジェクト」で、講師にはXenkai株式会社、東北コピー販売株式会社が入り、朝日システム株式会社、デジタルハリウッドSTUDIO福島、株式会社テレビユー福島、福島カラー印刷株式会社、株式会社福島県中央計算センター、株式会社福島民報社などがサポーターとして参画しています。オブザーバーには株式会社東邦銀行、事務局は福島市です。
行政が旗振り役となりつつ、企業や地域メディア、クリエイティブ人材育成機関が関わることで、高校生の学びが教室内に閉じない点が大きな特徴です。地域課題の探究を、データ活用、表現、対外発信まで接続しているため、総合的な探究の時間やキャリア教育、STEAM教育との親和性も高いといえます。
募集概要と参加条件
募集対象は福島市・県北エリアの高校生。申込期限は令和8年8月20日で、応募多数の場合は選考があります。参加には保護者の同意が必要です。
また、活動場所までの往復は各自で安全に注意すること、活動中は主催者や運営スタッフの指示に従うことも案内されています。自治体主導の放課後プログラムとして、運営面の基本事項が明確に整理されている点も実務上の参考になります。
💡 先生へのポイント
- 生成AIの導入は、要約や翻訳体験だけでなく「誤りを見抜く学び」とセットで設計すると実践的です。
- 地域データ分析→企業訪問→課題設定→提案発表という流れは、探究学習の年間設計例として活用できます。
- 学校単独で難しい場合も、自治体・地元企業・外部講師との連携で学びを拡張できます。
- GeminiやNotebookLMのような既存環境を前提にすると、導入ハードルを下げやすくなります。
まとめ
今回の「ふくしまAI部」は、AIスキル習得にとどまらず、地域課題の発見と提案までを高校生が体験できる実践型プログラムです。生成AIリテラシー、探究学習、地域連携を一体化した取り組みとして、自治体や学校が今後の学びを設計するうえで示唆の多い事例といえます。
出典:ふくしまAI部 部員募集中!/福島市公式ホームページ https://share.google/CBIVOnSnspBSUYkA8




