国連機関のUNESCO Montevideo(中南米)が、AIを「使う」だけでなく「理解し、問い、責任を持って参加する」ための無料MOOC第2弾を開講します。日本の学校でも、情報判断・倫理・民主主義を結びつけた授業設計に活かせる内容です。
AIを使う→理解・問い・責任へ
UNESCOは、デジタル市民性と人工知能を学ぶ無料オンライン講座(MOOC)「Educating in the Age of Artificial Intelligence: Digital Citizenship from the Classroom」の第2回募集を開始しました。第1回は23,000人超が登録し、今回は英語版も加わることで、ラテンアメリカ・カリブ地域にとどまらず、世界の教員や教育関係者が参加しやすくなっています。開講は2026年6月15日です。
この講座を主導するのは、ウルグアイの首都モンテビデオにあるUNESCOの地域事務所です。ラテンアメリカ・カリブ地域の科学分野を担う拠点として、AIを「教材作成の便利ツール」に限定せず、民主主義や市民性教育と結びつけている点が特徴です。
学校教育で重視する視点
講座の中心にあるのは、AIやデジタル技術を前提にした「批判的で責任ある市民」を育てることです。扱うテーマは、アルゴリズムの仕組み、デジタルフットプリント、情報の偏り、フェイク情報、AIの倫理的利用、オンライン空間での共生、権利の保護、民主的参加など多岐にわたります。
特に注目したいのは、AIを「どう授業に使うか」だけでなく、「AIが日常の判断や価値観にどう影響するか」まで扱っていることです。生徒が検索結果やSNS投稿をそのまま受け取るのではなく、情報の背景や偏りを考える学びにつながります。
講座の構成と学び方
今回の講座は5つのテーマ別モジュールで構成され、アルゴリズムの働きから、AIが指導・評価・意味形成に与える影響まで段階的に学べます。動画、専門家の証言、討議フォーラム、ケーススタディを組み合わせ、理論だけで終わらない設計になっています。
さらに、AIと教育の概念整理を深めるオープンアクセスのデジタル出版物も用意されています。参加は無料で、内容と評価の80%以上を修了するとUNESCO公式証明書の対象になります。
日本の学校でどう活かせるのか
日本でも、生成AIの活用ルールづくりは進みつつありますが、授業では「使い方」中心に偏りがちです。この講座の視点を取り入れると、情報モラル、探究学習、公民、総合的な学習の時間を横断して、AIと民主主義、権利、責任を結びつけた授業を組み立てやすくなります。
たとえば、
- AIの回答を鵜呑みにせず、根拠を確認する活動
- SNSや検索結果の偏りを比較する情報リテラシー学習
- 生徒会や学級活動とつなげた「デジタル空間での合意形成」
- 教員研修でのAI倫理・評価・学習支援の整理
といった実践に展開できます。学校全体でデジタル市民性を育てる視点を持つことが、今後さらに重要になりそうです。
💡 先生へのポイント
- 生成AIは「便利な道具」だけでなく、情報の偏りや判断への影響まで扱う
- 探究、公民、情報モラルをつなげると授業化しやすい
- 生徒に「正しい答え」より「根拠を確かめる習慣」を持たせる
- 学級活動や生徒会で、オンライン上の対話や合意形成を考える題材にできる
まとめ
UNESCOの第2弾MOOCは、AI時代の教育を「活用」から「市民性の育成」へ広げる内容です。日本の学校でも、AIをめぐる技術学習と、民主主義・倫理・情報判断の学びを一体で考えるヒントになります。教員研修や授業改善の材料として、国際的な視点を取り入れる価値は大きいでしょう。
出典:UNESCO launches the second edition of its course on digital https://www.unesco.org/en/articles/unesco-launches-second-edition-its-course-digital-citizenship-and-artificial-intelligence-following




