花まる教育研究所の調査で、保護者の生成AI利用は8割超に広がる一方、子どもへの使わせ方に悩む声が半数を超える実態が明らかになりました。家庭や学校でのルールづくりを考える材料になります。
保護者自身は“使う”が、子どもには迷う
この度、学習塾「花まる学習会」などを展開する花まるグループ(株式会社こうゆう、埼玉県さいたま市)が運営する花まる教育研究所が、2026年2月15日〜3月8日の期間に保護者268名を対象に行った調査では、保護者自身の生成AI利用率が83.0%に達しました。日常の調べものや仕事の効率化など、生成AIは大人の生活にかなり浸透しています。
一方で、子どもに使わせることには慎重さが目立ちました。「積極的に使わせたい」「どちらかといえば使わせてもよい」を合わせると54.3%で前向きな層は半数を超えたものの、「まだ判断できない・考え中」が30.9%あり、使わせ方の判断に迷う保護者が少なくありません。
不安の中心は依存・思考力・誤情報
子どもの生成AI利用への不安として最も多かったのは「AIに頼りすぎてしまうこと」(66.4%)でした。続いて「自分で考える力が育たなくなること」(63.4%)、「間違った情報を信じてしまうこと」(54.7%)が上位に挙がっています。
宿題や調べ学習をAIに任せすぎることへの懸念もあり、便利さを認めつつも、学びの土台である思考力や情報リテラシーが損なわれるのではないかという危機感が広がっています。
家庭内で話し合えていない現実
調査では、子どもの生成AI利用について夫婦・パートナー間で「すでに具体的に話し合ったことがある」と答えたのは11.3%にとどまりました。逆に、88.7%は深く話し合えていない、または話し合っていない状態でした。
さらに、子どもの利用状況を「すでに使っている(親も把握している)」と答えたのは26.0%で、家庭によって把握状況に差があります。子どもが生成AIに触れている可能性はあるものの、家庭内のルールや見守り方が統一されていないことがうかがえます。
教育現場に求められるのは“使うか”より“どう使うか”
高濱正伸氏は、生成AIは避けられない存在であり、重要なのは「使うか使わないか」ではなく「どう使うか」だと指摘しています。家庭だけで抱え込むのではなく、学校や社会全体で共通のルールや価値観を整える必要があるという視点です。
教員や塾、学校の立場から見ると、生成AIを禁止か解禁かで二分するのではなく、調べる・考える・確かめるという学びのプロセスの中にどう位置づけるかが問われます。特に、誤情報の見分け方や、AIの答えをそのまま受け取らない姿勢を育てる指導が重要になりそうです。
現場で意識したい活用の方向性
生成AIは、文章のたたき台づくりやアイデア出し、個別最適な学習支援など、学びを助ける可能性があります。ただし、子どもが考える前に答えを得る使い方が常態化すると、学習効果を損ねるおそれもあります。
そのため、教育現場では「AIに答えを出させる」のではなく、「AIの出力を検討し、自分の考えに変える」使い方を設計することがポイントです。保護者への説明や、家庭での使い方の共有も、今後は重要なテーマになっていくでしょう。
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💡 先生へのポイント
- 生成AIは“使う/使わない”ではなく、“どう使うか”を授業内で共有する
- 調べ学習では、AIの回答をそのまま採用せず、根拠確認をセットにする
- 家庭向けに、宿題・調べもの・創作での利用ルール例を示すと伝わりやすい
- 「AI依存」「思考力低下」「誤情報」の3点を保護者説明の軸にすると整理しやすい
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まとめ
今回の調査は、保護者の多くが生成AIを日常的に使う一方で、子どもへの活用には強い迷いを抱えていることを示しました。教育現場では、技術の是非を問うだけでなく、思考力や情報リテラシーを守りながら活用する設計が求められます。家庭と学校が同じ視点を持てるかどうかが、今後の大きな鍵になりそうです。
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出典:5割の親が子どもの生成AI利用に前向きも、約6割が使わせ方に悩み 不安の理由1位「AI依存」2位「思考力低下」3位「誤情報リスク」 【花まる教育研究所 子どもと生成AIの関わりに関する実態調査】 | 株式会社こうゆうのプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000080.000012991.html




