鹿児島県本土の中央部にある霧島市では、今年度から市内すべての小中学校でAI型ドリル搭載教材を導入しています。オフライン利用に対応した教材選定は、地域差のある通信環境下でも学習機会を確保したい自治体・学校にとって参考になる事例です。
導入の背景は「通信環境の差」
鹿児島県霧島市は、2026年度より市内すべての小中学校でAI型ドリル搭載教材「ラインズeライブラリアドバンス」を導入しました。GIGAスクール構想のもとで1人1台端末の活用を進める一方、市域の広さや地理的条件によって通信環境に差があるという課題を踏まえ、環境に左右されにくい学習基盤の整備を進めた形です。
同市では、タブレット活用を進める中で、学校や地域によって通信状況に違いがあることが実践上の課題になっていました。オンライン前提の教材は、接続が不安定な場面で学習の継続性が損なわれやすく、同じ市内でも使いやすさに差が生じる可能性があります。
今回の導入は、こうした地域的条件を踏まえ、「誰一人取り残さない学び」を実現するための基盤整備として位置づけられます。端末配備だけでなく、実際に安定して使える教材まで含めて学習環境を設計している点が重要です。
オフライン対応が現場運用を支える
導入教材の大きな特徴は、オフライン機能を備えていることです。これにより、通信環境に依存せず安定して利用しやすく、授業中の接続トラブルや家庭学習時の不安定さを一定程度回避できます。
また、タブレット端末で利用できるため、学校間の設備差や利用場面の違いに左右されにくい運用が期待されます。ICT整備では「導入したが、つながらず使えない」という壁がしばしば課題になりますが、霧島市の事例は、その壁を教材選定で乗り越えようとした点に特徴があります。
実技教科まで含めた活用範囲の広さ
今回の教材「ラインズeライブラリアドバンス」は、中学校の全実技教科である保健体育、技術・家庭、音楽、美術にも対応しています。主要教科中心になりがちなデジタル教材の中で、実技教科までカバーしていることは、学校全体での活用を広げるうえで大きな利点です。
教科横断的に使える教材は、教員ごとの活用格差を抑えやすく、校内でのICT活用を定着させる後押しにもなります。特定教科だけの導入にとどまらず、学校全体の学習基盤として位置づけやすい点は、自治体導入を検討する際の判断材料になりそうです。
授業・朝自習・宿題へと利用が拡大
同市では、すでに授業時間や朝自習での活用に加え、平日や夏休みの宿題でも利用されているとしています。これは、校内利用にとどまらず、家庭学習まで含めて教材が日常的な学びに組み込まれ始めていることを示します。
特に、家庭での通信環境に差がある地域では、オンライン前提の宿題が学習格差を広げる懸念もあります。オフライン対応教材は、こうした課題への現実的な打ち手として注目できます。自治体や学校にとっては、ICT活用を「使える学校だけの実践」にしないための視点が求められます。
💡 先生へのポイント
- 教材選定では、機能の多さだけでなく「通信が不安定でも使えるか」を確認する
- 宿題配信を考える際は、家庭のネット環境差を前提に設計する
- 実技教科も含めて使える教材は、校内の活用定着を進めやすい
- 朝自習や短時間学習など、接続準備に時間をかけにくい場面でも活用しやすいかが重要
まとめ
今回の霧島市の取り組みは、1人1台端末時代において、端末整備だけでなく「どの環境でも学べる教材」をどう選ぶかが重要であることを示しています。通信環境の地域差を前提にしたICT整備は、自治体・学校が今後の学習保障を考えるうえで有力な視点になりそうです。
出典:【鹿児島県霧島市】誰一人取り残さない学びの実現へ向けて~環境に左右されないAI型ドリル搭載教材を導入~ | 霧島市のプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000096500.html




