今回の調査で、小学生の自由研究でAIを使う予定の家庭は少数派でしたが、AIリテラシーは小学生から学ばせたいという保護者は8割超にのぼりました。学校現場では、禁止か推奨かの二択ではなく、使い方の線引きをどう示すかが重要になりそうです。
保護者調査「使わせないが、学ばせたい」実態
株式会社DeltaX(東京都千代田区)が運営する「塾選ジャーナル」の保護者調査によると、小学生の自由研究で「AIを利用する予定」と答えた家庭は9%にとどまり、「利用する予定はない」は63%で前年と同水準でした。生成AIの機能が広がるなかでも、自由研究への本格活用はまだ広がっていないことがうかがえます。
一方で、AIリテラシーを学ばせる時期については、「小学校5・6年から」33%、「小学校3・4年から」26%、「小学校1・2年から」23%となり、合計82%が小学生段階からの学習を支持しました。活用には慎重でも、将来に向けた基礎理解は早めに必要だと考える保護者が多い構図です。
自由研究で重視されているのは成果より過程
保護者が自由研究で子どもに最も身につけてほしい力として挙げたのは、「考える力」36%が最多でした。続いて「粘り強く取り組む力」「観察する力」が各14%、「自分でテーマを見つける力」13%となっています。
この結果から見えるのは、自由研究が単なる提出物ではなく、問いを立て、調べ、試行錯誤し、まとめる一連の学びとして受け止められていることです。そのため、AIが便利であっても、思考や観察の中核部分まで代替してしまう使い方には慎重な見方が強くなっています。
AIを利用しない理由としては、「自分で考える過程を大切にしたい」「学校のルールが分からない、または禁止されている」「AIの正確性を子どもが判断しにくい」といった声が目立ちました。特に小学生では、出力内容の真偽を見抜く力とあわせて、AIそのものへの理解がまだ十分でない点も課題といえます。
保護者が考えるAI活用のOKとNG
今回の調査では、保護者の多くがAI利用そのものを全面否定しているわけではありません。問題ないと考えられていたのは、テーマ決めのヒント、調べ方の相談、自分で集めた情報の整理、誤字脱字の確認といった補助的な使い方です。いわば、子どもの思考を支える「壁打ち相手」としての活用です。
一方でNGとされたのは、テーマ設定から考察、文章作成までの丸投げ、AIの出力の丸写し、実際には行っていない観察や実験の代替です。つまり線引きの基準は、AIを使ったかどうかではなく、子ども自身の考える過程や体験が残っているかどうかにあります。
この観点は、学校や塾がAI利用ルールを設計する際にも参考になります。提出物の完成度だけでなく、途中のメモ、観察記録、試行錯誤の跡を評価対象に含めることで、AIの不適切利用を抑えつつ、適切な補助利用は認めやすくなります。
個人情報への不安が学校の説明責任を高める
AIに入力する情報への懸念では、「氏名や学校名などの個人情報」が64%で最多でした。次いで「位置情報や生活圏が分かる情報」42%、「顔写真や家族写真」41%が続いています。
自由研究では地域や学校生活を題材にすることも多いため、子どもが無自覚に個人特定につながる情報を入力してしまうリスクがあります。学校現場では、AIの使い方を教える際に、プロンプトの工夫だけでなく「入力してはいけない情報」を具体例で示す必要があります。情報モラル教育とAIリテラシー教育を切り分けず、一体で扱うことが求められそうです。
💡 先生へのポイント
- 自由研究でAIを扱うなら、「相談は可・本文の丸写しは不可」など工程ごとのルールを明文化する
- 完成物だけでなく、観察記録や途中メモの提出を求めると、思考過程を評価しやすい
- AIの正誤確認を学習機会にし、「本や複数資料で確かめる」手順まで指導する
- 個人情報、学校名、写真、位置情報は入力しないことを具体例で共有する
- 保護者向けにも利用方針を伝え、家庭での補助範囲をそろえる
まとめ
今回の調査は、小学生の自由研究でのAI活用がまだ限定的である一方、AIリテラシー教育への期待は高いことを示しました。教育現場では、AIを使うか使わないかではなく、どの工程なら学びを損なわずに活用できるかを整理し、子どもの思考と安全を守る運用設計が重要になりそうです。
出典:自由研究へのAI活用は少数派-それでも「AIは小学生から学ばせたい」が8割超【保護者調査】 | 株式会社DeltaXのプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000145.000116808.html




