この度、オーストラリア政府のオンライン安全当局が、学校サイトやSNSに掲載した児童生徒・教職員の写真がAIディープフェイクに悪用されるリスクについて注意喚起しています。学校広報や保護者連絡で写真を扱う教育現場にとって、同意取得や公開範囲の見直しに直結するニュースです。
学校の公開写真が悪用される時代に
オーストラリア政府のオンライン安全当局「eSafety Commissioner 」は2026年7月28日、学校がウェブサイトやSNSに掲載する写真の取り扱いについて新たな警告を出しました。背景にあるのは、生成AIの普及によって、専門的な画像編集スキルがなくても、児童生徒や教職員の写真を偽画像・偽動画へ加工しやすくなっていることです。
当局によると、過去18か月で学校に関連する画像悪用の報告が増加しました。2026年1月から3月だけでも、学校や教職員を標的にした匿名アカウントに関する報告が100件超あり、AI生成のダンス動画、顔のすげ替え、ミーム、校長や教員に関する捏造ストーリーなどが確認されたといいます。
特に問題視されたのは、こうした素材のほぼすべてが学校のSNSや公式サイトから取得されたとみられる点です。教職員の顔写真が偽動画や評価コンテンツに転用されたり、児童生徒の写真が性的な画像に加工されたりする事例も報告されています。校名、制服、校舎といった周辺情報が加わることで、偽画像の信憑性が高まることも懸念材料です。
当局が学校に求めた見直し
当局は、写真を掲載する前に少なくとも4点を確認するよう求めています。第一に、掲載目的が明確か。第二に、本人や保護者の同意が適切に得られているか。第三に、誰がその写真へアクセスできるか。第四に、個人を特定できる情報が含まれていないか、です。
そのうえで、一般公開のサイトやSNSではなく、保護者限定の閉じた環境での共有も検討すべきだとしました。加えて、苦情対応の手順を整え、児童生徒や保護者、教職員からの申し出に迅速に対応できる体制づくりも重要だとしています。
さらに注目したいのは、校内規則や重大事故対応計画に、AIで加工された画像・動画への対応を組み込む必要性が示された点です。単なる広報ルールではなく、学校安全や危機管理のテーマとして扱う段階に入ったといえます。
日本の学校広報にも示唆あり
日本でも、入学時に「写真掲載の可否」を一括で確認する運用は一般的です。しかし生成AI時代には、その同意の取り方では不十分になりつつあります。少なくとも、校内限定共有、保護者限定サイト、一般公開サイト、SNS、報道機関提供といった掲載先ごとに同意を分ける設計が現実的です。
また、写真単体ではなく、氏名、学年、クラス、部活動名、制服、学校名、校舎背景などの情報の組み合わせがリスクを高めます。広報担当や学年主任だけの課題ではなく、個人情報保護、情報モラル、危機管理、保護者対応を横断して見直す必要があります。
学校が「よい活動を発信したい」と考えるのは自然ですが、公開範囲が広いほど二次利用の制御は難しくなります。今後は、発信量を増やすこと以上に、公開先ごとの必要性と代替手段を精査する運用が求められそうです。
💡 先生へのポイント
- 写真掲載の同意は「一括可否」ではなく、掲載先ごとに分けて確認する
- SNS投稿では、顔写真に加えて校名・制服・名札・行事名が写り込んでいないか点検する
- 学校サイトの職員顔写真や集合写真は、公開範囲を縮小できないか見直す
- AI加工画像が出回った場合の連絡先、初動、保護者説明の流れを校内で共有しておく
- 広報担当だけでなく、管理職、情報担当、学年団でルールを再設計する
まとめ
今回の豪州当局の警告は、学校写真の公開が「個人情報保護」だけでなく「生成AIによる二次利用リスク」の問題になったことを示しています。日本の学校でも、写真掲載の同意、公開範囲、危機対応を細かく見直し、広報と安全の両立を図ることが重要でしょう。
出典:AI deepfakes of student, staff photos on the rise, schools warned | Nine.com.au https://www.nine.com.au/australia-news/schools-warned-over-posting-student-photos-ai-deepfake-fears-20260728-p60j33.html?




