この度、SHIFT AI社による保護者調査から、小学生の生成AI利用は宿題を入口に広がる一方、宿題の種類によって許容度に大きな差があることが分かりました。学校や塾がAI活用ルールを設計する際の具体的な示唆が得られます。
宿題でのAI利用は“全面容認”ではない
小学生の夏休み課題における生成AI利用について、保護者の判断は一律ではなく、用途ごとに明確な線引きが見えています。全国の小学生保護者722名を対象にした株式会社SHIFT AI(東京都渋谷区)の調査では、子どもの生成AI利用は37.7%にのぼり、「確証はないが使っていそう」まで含めると45.2%に達しました。
実際の利用用途では「学校の宿題」が56.0%で最多となり、生成AIが家庭学習の現場に入り始めている実態がうかがえます。「夏休みの宿題にAIを使うこと」全体では、42.1%が「アリ」と回答しました。ただし過半数には届かず、賛否は拮抗しています。
注目すべきは、保護者がAIの利用可否を宿題の性質で分けている点です。許容度が高かったのは「自由研究のテーマ決め・アイデア出し」67.0%、「わからない問題の解説」64.1%。一方で、「作文・日記」31.3%、「読書感想文」32.7%は低く、子ども自身の思考や表現が中心となる課題では慎重な見方が強く出ました。
つまり、保護者はAIを“答えを出す代行者”としてではなく、“考えるきっかけを与える補助者”としてなら受け入れやすいということです。
利用実態の入口は「宿題」から
生成AIを使っている子どもの用途は、「学校の宿題」56.0%に続き、「調べもの」50.6%、「自由研究・工作のアイデア出し」47.6%でした。学習と生活の両面で使われているものの、最初の接点としては宿題が最も大きいことが分かります。
学校現場にとっては、子どもがすでに家庭でAIに触れている可能性を前提にした指導が必要になってきています。禁止を前提にするだけでは実態とずれやすく、どの場面なら活用でき、どこからが本人の思考を損なうのかを具体的に示すことが重要です。
保護者評価は二分~背景に“親自身の経験差”
「子どもが宿題でAIを使うこと」への感覚では、「学ぶ機会になる/推奨」が54.7%だった一方、「答えを写すだけならズル」または「基本的にズル」が44.8%でした。AI活用を前向きに見る層と、学習の質低下を懸念する層がほぼ並んでいます。
この差を大きく左右していたのが、保護者自身のAI利用経験です。月に数回以上AIを使う保護者では、58.5%が「宿題にAIはアリ」と回答したのに対し、ほとんど使わない保護者では18.6%にとどまりました。家庭内での理解度や利用経験が、そのまま子どもの活用許容度につながっている構図です。
学校や塾がAI方針を伝える際には、児童だけでなく保護者への説明機会も欠かせません。特に「何がズルで、何が支援なのか」を具体例で共有することが、不要な不安の軽減につながります。
この夏休みでの家庭判断もほぼ二分
この夏に子どもへAIを使わせる予定がある家庭は41.0%で、「使わせる予定はない」40.9%とほぼ同数でした。内訳を見ると、「親子で一緒に使う予定」19.5%、「子ども本人に使わせる予定」21.5%となっており、使う場合でも保護者が伴走する形を選ぶ家庭が少なくありません。
ここから見えるのは、家庭が求めているのは単純な賛成・反対の結論ではなく、安心して使うための運用ルールだということです。たとえば「まず自分で考えてからAIに質問する」「AIの答えをそのまま提出しない」「出てきた内容を親子で確認する」といった基本ルールは、学校でも共有しやすい実践知になります。
💡 先生へのポイント
- 宿題でのAI利用は、全面禁止より「使ってよい場面・だめな場面」の明文化が有効
- 自由研究のテーマ設定、調べ学習の整理、解説の補助は比較的受け入れられやすい
- 作文、日記、読書感想文は「本人の考えを書く課題」としてAI利用方針を丁寧に示したい
- 保護者向けには、AIの便利さだけでなく「丸写しを防ぐ使い方」をセットで伝える
- 夏休み前の学年通信や保護者会で、AI活用の具体例を短く共有すると認識差を埋めやすい
まとめ
今回の調査は、小学生のAI利用がすでに宿題を入口に広がっている一方で、保護者は課題の性質に応じて利用範囲を見極めていることを示しました。学校や塾には、AIを使うか使わないかの二択ではなく、学びを深めるための使い方を具体化し、家庭と共通認識をつくる役割が求められます。
出典:【小学生の保護者722名調査】この夏、宿題にAIは「アリ」4割。ただし読書感想文・作文は「ナシ」 | 株式会社SHIFT AIのプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000277.000116644.html




