
最新の生成AIニュース(2025年5月26日~6月1日)を、YouTubeチャンネル「いけともch_旧リモ研」の池田朋弘氏が注目した20のキーワードで紹介します。
1. Perplexity LabsがAI新機能をProユーザー向け提供開始
Perplexity LabsがProユーザー向けに新機能を導入した。
この機能は、ディープリサーチや開発系のエージェントを統合し、特定のテーマに関する専用レポート、ミニアプリ、画像付き資料を簡単に作成できる。通常の検索が数十秒、ディープリサーチが3-4分に対し、Labs機能は約10分かけて情報収集とアプリ開発を行う。
2. Black Forest LabsがFLUX.1 Kontextを発表
Black Forest LabsがFLUX.1 Kontextという画像生成サービスを発表した。
この技術は入力した画像とテキストを同時に理解し、文脈を把握した上で部分編集や画像のバリエーション生成が可能である。従来の画像生成AIと比較して、元画像の内容をより正確に認識し、背景を踏まえた自然な編集を実現している。
3. Kling v2.1が複雑な感情表現を可能に
中国系の動画生成サービスKlingがバージョン2.1をリリースした。新バージョンでは複雑な感情表現が可能になり、動画生成のクオリティが大幅に向上している。
実際の比較では、同じプロンプトでも他の動画生成AIと比べて圧倒的に高品質な映像を生成でき、人物の自然な動きや表情変化を精密に再現できる。
4. AI詐欺への対策ツールに注目
AI時代における詐欺対策として、VPNの重要性が高まっている。ディープフェイクやフィッシング詐欺が増加する中、NordVPNなどのセキュリティツールに注目。
VPNはインターネット上に仮想トンネルを構築し、通信を暗号化することで、特に海外でのWi-Fi利用時のセキュリティリスクを軽減する。
5. ElevenLabsが会話型AI 2.0を発表
ElevenLabsが会話型AI 2.0をリリースした。この新バージョンでは自然な会話、自動言語検出、RAG機能による自社データからの音声回答が可能になった。
ユーザーが話している間はAIが待機し、言語を自動で切り替える機能も搭載している。ただし、日本語での利用はまだ安定性に課題があるとされている。
6. Difyが「Deep Research Workflow」公開
DifyがDeep Research Workflowの作成ガイドを公式に公開した。
このワークフローは、ユーザーの質問意図を把握し、エージェントノードを使用してループ処理でWeb検索を繰り返し、変数を更新しながら知識を蓄積していく仕組みである。最終的にこれらの情報をレポート形式にまとめることで、高精度なリサーチ結果を提供する。
7. ZapierがSlackと連携したアクション
Zapierが5月にSlackとの連携機能「Request Approval」を追加した。
この機能により、自動化プロセスの途中で人間による確認・承認を挟むことが可能になった。例えば、問い合わせメールの処理において、営業メールか真の問い合わせかをSlack上で判断し、必要な場合のみ後続の自動化を実行するといった運用が実現できる。
8. 日清食品の生成AI活用の社内浸透戦略
日清食品が生成AI活用の社内浸透において効果的な戦略を展開している。同社では全社的なAI導入を推進し、従業員の業務効率化と創造性向上を目指している。
特に商品開発や マーケティング分野での活用が進んでおり、従来の業務プロセスを大幅に改善している。組織全体でのAI リテラシー向上にも注力し、持続可能なデジタル変革を実現している。
9. サイバーエージェント社の約2000人が「Dify」利用
サイバーエージェントが社内でDifyを導入し、約2000人の従業員が活用している。同社では業務効率化とイノベーション創出を目的として、このノーコードAIプラットフォームを全社的に展開している。
開発者以外の職種でもAIアプリケーションの構築が可能になり、各部署での独自のソリューション開発が活発化している。導入効果として生産性の大幅な向上を実現している。
10. 研修医支援にRAG×AIエージェント導入し大成功
医療現場において研修医支援システムとしてRAG技術とAIエージェントを組み合わせたソリューションが導入され、大きな成果を上げている。
このシステムは医学文献や症例データベースを活用し、研修医の診断支援や学習サポートを行う。従来の教育手法と比較して学習効率が大幅に向上し、医療の質向上にも貢献。またAIによる24時間サポート体制も実現している。
11. AnthropicがClaude 4のシステムプロンプト公開
AnthropicがClaude 4のシステムプロンプトを一般公開した。これにより開発者やユーザーがAIの動作原理をより深く理解できるようになった。
公開されたプロンプトには安全性配慮、倫理的判断基準、回答品質向上のための詳細な指示が含まれている。透明性の向上により、AI開発コミュニティでの知見共有と技術発展が期待される。
12. Claudeモバイルアプリに音声モード登場
AnthropicのClaude モバイルアプリに音声モード機能が追加され、ハンズフリーでの対話が可能になった。
この機能により、運転中や作業中でも自然な音声でAIとコミュニケーションを取ることができる。音声認識精度も高く、複雑な質問や指示にも適切に応答。モバイル環境でのAI活用の利便性が大幅に向上し、新たな使用シーンの拡大が期待される。
13. Mistralがエンタープライズ向けAPI発表
Mistralがエンタープライズユーザー向けにAgents APIを発表した。この新サービスでは高精度なOCR機能を搭載し、文書のデジタル化において優れた性能を発揮している。
従来のOCRソリューションと比較して認識精度が大幅に向上し、複雑なレイアウトや手書き文字にも対応可能である。企業の文書管理業務の効率化と自動化に大きく貢献することが期待される。
14. OperaがAIエージェント搭載ブラウザ発表
OperaがAIエージェント機能を搭載した新ブラウザ「Neon」を発表した。このブラウザはユーザーの閲覧行動を学習し、個人に最適化されたWeb体験を提供する。
AIエージェントが自動的に情報収集、要約、タスク実行を行い、従来のブラウジング体験を革新している。プライバシー保護にも配慮しながら、次世代のインターネット利用環境を実現している。
15. Anthropicが年換算売上30億ドルを達成
AnthropicがClaude AIサービスにより年換算売上30億ドルを達成した。この急成長は企業向けAIソリューションの需要拡大と、高品質な言語モデルの提供によるものである。
同社は安全性と性能を両立したAI開発により市場での競争力を確立している。OpenAIに続く主要AI企業として、生成AI市場における存在感を大幅に高めている。
16. AIの影響でテック業界の新卒採用が減少傾向に
AI技術の普及により、テック業界における新卒採用が減少傾向にある。従来人間が担っていた業務の自動化が進み、特にエントリーレベルのポジションでAI代替が加速している。
企業は既存従業員のスキルアップに投資を集中させる傾向が強まっている。新卒者にはより高度な専門性とAI協働能力が求められるようになり、採用基準も大幅に変化している。
17. AIが弁護士と採用担当者の職を代替…投資家が警鐘
投資家らがAI技術による職業代替について警鐘を鳴らしている。特に弁護士と採用担当者の業務において、AI による自動化が急速に進んでいる。
法務文書の作成や契約書レビュー、候補者スクリーニングなどの定型業務がAIに置き換わりつつある。専門職においても創造性と人間的判断力を要する領域以外は、AI代替のリスクが高まっている。
18. Duolingo「AIファースト」戦略が招いた反発と混乱
Duolingoが推進する「AIファースト」戦略が社内外で反発と混乱を招いている。同社は人間の講師やコンテンツ制作者を大幅に削減し、AI生成コンテンツに依存する方針を強化した。
しかし教育品質の低下や文化的配慮の欠如が問題視され、ユーザーからの批判が高まっている。急激なAI化により、人間的要素の重要性が再認識される結果となっている。
19. AIによるハルシネーション事例のデータベース
AI のハルシネーション(幻覚)事例を収集・分析するデータベースが構築されている。このデータベースは誤情報生成、事実誤認、論理的矛盾などの事例を体系的に整理し、AI開発者や研究者に貴重な知見を提供している。
ハルシネーション対策の研究促進と、より信頼性の高いAIシステム開発に貢献することが期待される。AI安全性向上のための重要なリソースとして活用されている。
20. 行政の生成AI活用へ~デジタル庁が指針策定
デジタル庁が行政機関における生成AI活用のための包括的指針を策定した。この指針では情報セキュリティ、プライバシー保護、透明性確保などの重要事項が詳細に規定されている。
公務員の業務効率化と市民サービス向上を目的としながら、適切なガバナンス体制の構築を重視している。官民連携によるAI活用推進と、デジタル政府実現に向けた重要な一歩である。
日本の教育現場で活かせるのは何?
特に注目すべきは「研修医支援にRAG×AIエージェントを導入し大成功」した事例です。
この仕組みは、毎晩システムが患者データから必要な情報を自動収集し、翌朝研修医に個別化されたアドバイスをメール配信するというものでした。
この手法は塾や学校教育にも応用可能です。
例えば、生徒一人ひとりの学習履歴や理解度データを基に、AIが夜間に最適な学習教材や復習ポイントを自動選定し、翌朝個別化された学習プランを配信することができます。
従来の一律指導から脱却し、真の個別最適化学習が実現できるでしょう。
また、ElevenLabsの会話型AI 2.0やClaudeの音声モードも教育分野で有効です。
自然な音声対話により、生徒が気軽に質問でき、24時間いつでも学習サポートを受けられる環境が構築できます。
特に英語学習では、ネイティブレベルの発音練習相手として活用できるでしょう。
さらに、DifyのDeep Research Workflowを活用すれば、生徒の疑問に対して複数の信頼できる情報源から包括的な回答を生成し、より深い理解を促進できます。
これらのAI技術により、日本の教育は個別化と効率化を両立した次世代の学習環境へと進化していくことが期待されます。
ぜひこの記事を参考に、今後の教育現場での生成AI活用を検討してみてください!
参考: